作家ゆかりのお店
“今年の三月に邱大師が渋谷に『天厨菜館』(天子の厨房)という凄え名前のレストランを開いたという話を編集長の竹内ボクチャンが聞きこんできた。”(開高健『最後の晩餐』の「天子の食事」より) “北京焼鴨であるが、これは私がかねがねそうあってほしいと…
“僕が好きなのはごくシンプルなステーキである。頃合のいい上等な美味い肉をさっと手際良く焼き、肉汁をにがさないように上からかけただけのシンプルこのうえないステーキである。味付けは軽く塩・胡椒くらいでいい。” (村上春樹『村上朝日堂はいほー!』の…
“豆カンはカンテンと赤豌豆だけのものに黒蜜をかけて食べる。あっさりしていて初夏のもの。酒のあとにもいい。”(色川武大『喰いたい放題』の「徹夜交歓」より) 浅草・梅むらの店構え。 ギャンブル小説で有名な色川武大(1929-1989)のエッセイから。読みは…
“僕らは音楽を聴きながらドライブし、海岸に寝転んでぼんやり雲を眺めたり、富士屋ホテルでアイス・クリームを食べながら午後の時間を過ごし、一日また一日と月日が過ぎていくのを眺めていた。”(村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』より) 箱根・富士屋ホテ…
“行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。先生あすこの團子を食ったことがありますか。奥さん一辺行って食って御覧。柔らかくて安いです。”(夏目漱石『吾輩は猫である』より) 手前が焼団子、奥が餡団子(こし餡)です。焼団子はみ…
“街で買えるケーキでは、ホテルオークラのものが、やはりよかった。これは定説のようになっているから私が記すまでもない。このオークラ出身のフランス人の菓子職人が六本木に出した“ルコント”といったかな、ここもオークラ風だ。”(色川武大『喰いたい放題…
“入って席についたとたんに深々と頭を下げられて「ようこそ『デニーズ』にいらっしゃいました!」なんて言われるたびに ー 申しわけないとは思うのだけど ー 食欲が失せていくような気がする。”(村上春樹『村上朝日堂はいほー!』の「サーヴィス業あれこれ…