わかめとねぎのみそ汁(村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)
“私はかつおぶしで簡単にだしをとってわかめとねぎのみそ汁を作り、ごはんと梅干しを添えて出した。彼女はあっという間にたいだげてしまった。”(村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』より)
村上春樹(1949-)の長編小説から。ほっそりとした美人の見事な食べっぷりに感心し、なかばあきれている場面です。胃拡張だと自己申告する彼女。直前に鰯と油揚げと山芋のフライ、セロリと牛肉の煮物、みょうがのおひたし、いんげんのごま和えを平らげていました。
みそ汁とごはんの後も、フランクフルト・ソーセージとわかめとツナをまぜたポテトサラダ、チョコレート・ケーキを食べています。
RECIPE
わかめとねぎのみそ汁(2人前)
カットわかめ・・お好みで
長ねぎ・・・・・親指の長さくらい
かつおぶし・・・1パック
水・・・・・・・400ml
みそ・・・・・・大さじ1
HOW TO COOK
1. 鍋に水を入れ、沸騰したら火を止めてかつおぶしを入れ、1-2分おく。
2. その間にかっとわかめを戻し、長ねぎを小口切りにする。
3. ざるにキッチンペーパーをしいて1を濾す。
4. 3を鍋に戻して火にかけ煮立ったら、わかめとねぎを入れる。具に火が通ったら火を止め、味噌を溶き入れてひと煮立ちさせる。
POINT
かつおぶしを濾すときは、えぐみが出るので絞らないほうが良いです。
京都・スティーブ・ジョブズの定宿「俵屋旅館」プロデュースのカフェ
イノダコーヒー以外に京都旅行で行ってきた喫茶店をもうひとつ。「俵屋旅館」の敷地内にある「遊形 サロン・ド・テ」。
気軽に行くというよりは、上質で特別な時間を過ごしたい時に。
旅館の雰囲気とは全く異なる北欧モダンな雰囲気の外観。
いいお値段です。
旅館の宿泊客をもてなすために提供している、まじりっけなしの「わらび餅」をいただけます。うまし。
俵のかたちをした落雁。うまし。
よかったら、 ポチっとしていただけると励みになります!
個人経営の喫茶店は「常にお客さんが3人いる状況」を作れれば成功する
ウルフ村田さんのtwitterでの推奨、SMBC日興証券株式会社が運営する、個人投資家向けお金の情報サイト「FROGGY(フロッギー)」などで取り上げられている漫画、『インベスターZ』。
首席入学した中学一年生が学園内の秘密組織で、学園の運営資金を投資運用してゆく物語が一本筋ですが、時折、投資にまつわる登場人物たちのサイドストーリーも出てきます。
11巻では母子家庭のお母さんが、40年続いている婦で経営の喫茶店を引き継ぐかたちで居抜き起業をする、という話が登場します。
ご夫婦は個人商店の成功する秘訣として、
・スリム(少人数体制で、固定費をかけずにバーンレートを下げる)
・シンプル(取扱商品が最小限)
・スロー(あまり忙しくない)
上記の総称として「3S」というのを語っています。
「個人商店はコーヒーチェーンやコンビニとの競合が激しいのに大丈夫なのか?」という話からはじまるのですが、「行列のできる地域一番店」を目指すような経営方針では、一時はトップに立つことができてたとしても、消耗戦を繰り返すうちにどんどん経営は苦しくなっていく、という分析をし、さらに年齢的な体力面なども考慮し、競争が激しくない、「喫茶店」を選んだというのです。
そして、この喫茶店では、1杯600円のブレンドコーヒーが定番で、原価が20円。
3人のお客さんが、1時間に1杯注文すると仮定し、1時間1800円の売り上げ。1日10時間営業で、1日の売り上げは約2万円。週6日営業で1週間で12万円。月商で50万円。
さらに、コーヒーの場合は、豆の保存がきくため、在庫リスクがなく、労働が軽度のため体への負担も少ない。という話でした。
しかし、作中ではこの説明に対し、
「経済情勢や社会構造も変化していく中で、個人商店が時代の荒波を乗り切るには、軽食のメニューを始めたり、お客さんを増やすためにいろいろな先行投資と固定費のアップを行っていかないと、現状維持は衰退を招き、やがて廃業につながるのでは?」
という質問がされます。
上記の質問に対して、ご夫婦は、
「商売をする人の耳もとで悪魔はささやく。『もっと売れ、もっと広げろ』と・・・」
という風に回答されており、別の人が解説として、その理由を、地方都市の商店街の話を例に、「市場規模を無視した売上計画を立て、そのために、借入をし、改築作業などをし売り場を広げ、その広さ分の在庫数を増やしてしまい、市場規模との乖離が生まれてしまう」
という説明をされています。
この喫茶店は2階は夫婦の住居なので、あくまで住居兼喫茶店の例ですが、マーケティング視点に富み、市場を的確にとらえた話だと思いました。
励みになるので、よかったらポチっとお願いします!
京都・イノダコーヒー本店
昨年の東京モーターショーのメルセデスのブースで京都高級旅館の旅行に当選し、2018年戌年の正月は京都で一泊してきました。
京都駅へ到着するやイノダコーヒーへ直行。アラビアの真珠とビーフカツサンドを注文。
写真ではわかりにくいですが、ミディアムレアの厚切りカツが柔らかく、ソースはしつこくなくペロリといただけます。
ビーフカツサンド 1,880円(税込)
イノダコーヒー旧店舗の前で記念撮影。大満足。
励みになるので、 よかったらポチっとお願いします。
ブラディ・マリー(村上春樹『風の歌を聴け』)
“僕たちは港の近くにある小さなレストランに入り、簡単な食事を済ませてからブラディ・マリーとバーボンを注文した。”(村上春樹『風の歌を聴け』より)
ブラディ・マリー。
1979年に村上春樹(1949-)が30歳のときに発表したデビュー作から。『風の歌を聴け』から取り上げるのは、コンビーフのサンドイッチ、フライド・ポテトに次いで今回で3回目です。バーが物語の舞台として登場するせいでしょうか、なんだかしょっぱいものが続いてしまいました。
ブラディ・マリーのレシピは、開高健がエッセイのなかでシンプルに解説しています。
“ウォッカは、なににでも混ぜられる。トマトジュースに混ぜるとブラディ・マリー。オレンジジュースに混ぜるとスクリュー・ドライバー。ブラディ・マリーなんかは、トマトジュースのなかにウォッ台所のまわりにあるものを全部ほうりこんで、絶妙な味になるので、これをキッチンドリンクというわけです。”(開高健『食の王様』の「それでも飲まずにいられない」より)
パークハイアット東京でピーク バー。同ホテルのバーといえば、ジャズライブをやっているニューヨーク バーですが、声を張り上げないと会話がまともに成立しないので、静かに飲みたいときはこちらのバーが好きです。
きれいな夜景。東京はいつ眠るんでしょうか。
天厨菜館(開高健『天子の食事』)
“今年の三月に邱大師が渋谷に『天厨菜館』(天子の厨房)という凄え名前のレストランを開いたという話を編集長の竹内ボクチャンが聞きこんできた。”(開高健『最後の晩餐』の「天子の食事」より)
“北京焼鴨であるが、これは私がかねがねそうあってほしいと思う演出で登場した。つまり、焼きあげたアヒルの体から皮だけを剃刀で削ぎ取るみたいにして削ぎ取るのではなくて、皮下脂をあちらこちらにのこし、またべつに肉片も添えて、出てきたのである。これはうれしかった。”
テーブルまで来てアヒルを削いで包んでくれます。
美食家として知られる開高健(1930-1989)のエッセイより。壽屋(現・サントリー)に勤務していた奥様で詩人の牧羊子が育児で退職するのと入れ替わりで、後任者として宣伝部勤務。日本にウイスキーブームを巻き起こしたトリスハイボールの「人間らしくやりたいナ」のコピーを手がけ、同時代に『裸の王様』を発表して芥川賞を受賞されました。
『最後の晩餐』は、昭和52年1月~昭和54年1月の2年間に渡り雑誌連載されたエッセイを収録したものです。
作中の邱大師とは、開高さん曰く“金儲けの神様”の邱永漢のことで、台湾の実業家、作家、評論家と多彩な顔を持つ。砂糖の密輸による逮捕や香港への亡命といった刺激的な経歴ののち、日本で作品を発表しはじめ、1955年に『香港』で第34回直木賞を受賞されています。
その邱永漢が開いた渋谷の天厨菜館は“台北にある北京料理の名店の支店で、コックも台北のその店からつれてきたし、メニュも台北のまま”だと紹介されています。
渋谷のお店の看板。銀座店、新宿高島屋タイムズスクエア店、天王洲アイル店もあります。
入口です。
お店の特徴は“四十歳から以後に、つまり中年から以後に食べる料理”だそうで、“低カロリー・淡泊・消化がよく、しかも中菜(中国料理)の深遠を含ませたものばかりを精選して供しよう”とのこと。開高さんはその味について“いずれも気品があって愉しめた”と評していますが、私も同感です。
アワビ入り海鮮焼きそば。写真ではわかりにくいですが、食べごたえのあるアワビが入っていました。
写真はないのですが、ほうれん草チャーハンも有名で、開高さんは“ホーレン草を油炒めして水分をとってから微塵切りにして、白飯といっしょに炒めただけのヤキメシであるが、まことにほのぼのと淡く、そして気品高かった。”と記しています。アラカルトで確か800円台で、気軽に食べられます。
サントリー チューハイ トリスハイボール 350ml×24缶
サントリー トリスハイボール 9% (キリッと濃いめ) 350ml×24本
サントリー トリスハイボール缶 レモン&ライム 350ml×24本
わかめの炒め物(向田邦子『向田邦子の手料理』)
酒のつまみや、箸休めにちょうど良い、ごく素朴な味。七味を振って変化を利かせても美味しい。
脚本家、エッセイスト、小説家の向田邦子(1929-1981)の料理本から。第一線で活躍中の飛行機事故での死はあっけなく、当時の日本では大きな衝撃でした。
向田さんは終生独身で通し、多忙な仕事の合間をぬって、三食の食事は自ら作っていたそうで、実際、いくつものエッセイに料理がたびたび登場していてその腕前が伺えますが、凝ったものというよりはどれも毎日食べたい味。それらは一冊の本にまとめられるほどのレシピをお持ちでした。
この“わかめの炒め物”は乾わかめを水で戻して炒めただけの簡単な菜小鉢で、お酒のつまみによく合います。帰宅してキッチンに向かいわかめを水に浸しておき、その間に着替えを済ませて、戻って炒めて出来上がりです。
わかめ自体に旨みがあるので、誰が作っても失敗なく美味しい一品だと思います。一品足りないときにも重宝するのではないでしょうか。
忙しい日々を過ごされた向田さんのレシピは現代の時短に通じるものも多いです。でも古風な価値観が残っていて、その料理の味はびっくりするほどほっとする味なのです。
RECIPE
わかめの炒め物
乾わかめ・・・・・食べたい分だけ
白しょうゆ・・・・お好みで
かつおぶし・・・・お好みで
白ごま・・・・・・お好みで
ごま油・・・・・・お好みで
HOW TO COOK
1. 乾わかめを水で戻す。
2. 1の水気を切り、ごま油で炒め、白醤油、かつおぶしを加える。 お好みで白ごまを振る。
寺内貫太郎一家 期間限定スペシャルプライス DVD-BOX1
向田邦子原作 阿修羅のごとく 全集 パート1【NHKスクエア限定商品】
はじめは二の足を踏んていたのですが、知人に勧められてはじめた仮想通貨でDVDや本を買っています。