サラリーマン、喫茶店開業をめざす

小説・エッセイに出てきたあの料理を食べる、旧「小説家食堂」運営。2020年までに喫茶店店主をめざします!

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

“今年の三月に邱大師が渋谷に『天厨菜館』(天子の厨房)という凄え名前のレストランを開いたという話を編集長の竹内ボクチャンが聞きこんできた。”(開高健『最後の晩餐』の「天子の食事」より)

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

“北京焼鴨であるが、これは私がかねがねそうあってほしいと思う演出で登場した。つまり、焼きあげたアヒルの体から皮だけを剃刀で削ぎ取るみたいにして削ぎ取るのではなくて、皮下脂をあちらこちらにのこし、またべつに肉片も添えて、出てきたのである。これはうれしかった。”

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

テーブルまで来てアヒルを削いで包んでくれます。

 

美食家として知られる開高健(1930-1989)のエッセイより。壽屋(現・サントリー)に勤務していた奥様で詩人の牧羊子が育児で退職するのと入れ替わりで、後任者として宣伝部勤務。日本にウイスキーブームを巻き起こしたトリスハイボールの「人間らしくやりたいナ」のコピーを手がけ、同時代に『裸の王様』を発表して芥川賞を受賞されました。

『最後の晩餐』は、昭和52年1月~昭和54年1月の2年間に渡り雑誌連載されたエッセイを収録したものです。

作中の邱大師とは、開高さん曰く“金儲けの神様”の邱永漢のことで、台湾の実業家、作家、評論家と多彩な顔を持つ。砂糖の密輸による逮捕や香港への亡命といった刺激的な経歴ののち、日本で作品を発表しはじめ、1955年に『香港』で第34回直木賞を受賞されています。

その邱永漢が開いた渋谷の天厨菜館は“台北にある北京料理の名店の支店で、コックも台北のその店からつれてきたし、メニュも台北のまま”だと紹介されています。

 

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

渋谷のお店の看板。銀座店、新宿高島屋タイムズスクエア店、天王洲アイル店もあります。

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

入口です。

 

お店の特徴は“四十歳から以後に、つまり中年から以後に食べる料理”だそうで、“低カロリー・淡泊・消化がよく、しかも中菜(中国料理)の深遠を含ませたものばかりを精選して供しよう”とのこと。開高さんはその味について“いずれも気品があって愉しめた”と評していますが、私も同感です。

 

天厨菜館(開高健『天子の食事』)

アワビ入り海鮮焼きそば。写真ではわかりにくいですが、食べごたえのあるアワビが入っていました。

 

写真はないのですが、ほうれん草チャーハンも有名で、開高さんは“ホーレン草を油炒めして水分をとってから微塵切りにして、白飯といっしょに炒めただけのヤキメシであるが、まことにほのぼのと淡く、そして気品高かった。”と記しています。アラカルトで確か800円台で、気軽に食べられます。

 

最後の晩餐 (光文社文庫)

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サントリー ウイスキー トリス クラシック 700ml

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サントリー トリスハイボール缶 レモン&ライム 350ml×24本

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