作家の味・レシピ
“私はかつおぶしで簡単にだしをとってわかめとねぎのみそ汁を作り、ごはんと梅干しを添えて出した。彼女はあっという間にたいだげてしまった。”(村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』より) 村上春樹(1949-)の長編小説から。ほっそり…
“僕たちは港の近くにある小さなレストランに入り、簡単な食事を済ませてからブラディ・マリーとバーボンを注文した。”(村上春樹『風の歌を聴け』より) ブラディ・マリー。 1979年に村上春樹(1949-)が30歳のときに発表したデビュー作から。『風の歌を聴け…
酒のつまみや、箸休めにちょうど良い、ごく素朴な味。七味を振って変化を利かせても美味しい。 脚本家、エッセイスト、小説家の向田邦子(1929-1981)の料理本から。第一線で活躍中の飛行機事故での死はあっけなく、当時の日本では大きな衝撃でした。 向田さ…
“そこでジョウは黒ビールを一本あけようかときき、またどねりー夫人はポート・ワインもあるからそのほうがよろしければ、というのだった。”(ジェイムズ・ジョイス『ダブリン市民』の「土くれ」より) クリーミーな泡が特徴。 20世紀の最も重要な作家の1人と…
“東欧の例のほかにもうひとつつけ加えるならば、イギリスのフィッシュ・アンド・チップスというのがある。これは町なかの屋台店のようなところで、店先で揚げたてのを紙にくるんでもらって立ち食いするスナックでもあれが、安食堂のメニューにもよくのぼるし…
“だいたいどうしてうどんの中にわざわざカレーとかコロッケみたいな明らかに異なったライン上にあるものを放り込まなくちゃならんのか、僕にはまるっきり理解できない。そんなことを許しつづけていたら今に「ミートソース茶漬」なんてところにまで突っ走らね…
“ひところキャンプ料理で、スパゲティ料理にいたく凝り、いく日かの不屈の闘魂によってついに「望郷シーナスパゲティ」というものを完成させた。つくり方は簡単で、よく茹でたスパゲティを皿に盛りいきなり大量のカツオブシをコレでもかコレでもかと叫びつつ…
“永遠子は、麻婆豆腐を炒めながらウイスキーをひと匙ふりかける。それは春子に教わった調理法だった。”(朝吹真理子『きことわ』より) ウイスキーをひと匙ふりかけた味は、劇的な変化はありませんが中華からほんの少し洋風になった味わい。 朝吹真理子(198…
“ジェイは僕にビールを何本かごちそうしてくれ、おまけに揚げたてのフライド・ポテトをビニール袋に入れて持たせてくれた。”(村上春樹『風の歌を聴け』より) 小説に触発されて昼間からビール。おともにフライド・ポテトを気軽に頼んだら、すごい量が。 197…
“レッドアイはアメリカで二日酔いのときの飲み物として最近流行していると紹介。但し、“新宿ゴールデン街のように、荒っぽい酒のみの集まっているところで飲まないように”とも記している。 カクテルとしてすっかり市民権を得ている今では想像できない話です…
“目玉焼というのはどうも食べにくい料理である。正式にはどうやって食べるものなのか。こうだ、という自信のある人にかつてお目にかかったことがない。”(伊丹十三『女たちよ!』の「目玉焼の正しい食べ方」より) 朝食の定番、目玉焼。 映画監督、俳優、エ…
どういうわけか、和尚さんは、ぼくに胡麻の皮をむけ、といった。そんなことをいわれてあんな小さな粒の皮などむけるものかと先ずびっくりしたが、目の前で和尚さんがやってみせる胡麻の皮むきに参ってしまった。(水上勉『土を喰う日々 ー わが精進の十二カ…
“ところで、このキューカンバー・サンドウィッチであるが、これは実にけちくさく、粗末な食べ物でありながら妙においしいところがある。”(伊丹十三『女たちよ!』の「キューカンバー・サンドウィッチ」より) シンプルなサンドウィッチなので、きゅうりの青…
“主流の中にあっては自分は生かされない、と油揚げは考えたのである。”(東海林さだお『タコの丸かじり』の「油揚げの処世術を見習おう」より) 油揚げの焼いたの。調理時間は5分くらいでできます。 新聞や週刊誌の長期連載の名手、東海林さだお(1937-)の…
“僕はビールとコンビーフのサンドウィッチを注文してから、本を取り出し、ゆっくりと鼠を待つことにした。”(村上春樹『風の歌を聴け』より) きゅうりは少しずつずらして重ねて並べると切ったときに少しおしゃれ。 1979年に村上春樹(1949-)が30歳のときに…