フライド・ポテト(村上春樹『風の歌を聴け』)
“ジェイは僕にビールを何本かごちそうしてくれ、おまけに揚げたてのフライド・ポテトをビニール袋に入れて持たせてくれた。”(村上春樹『風の歌を聴け』より)
小説に触発されて昼間からビール。おともにフライド・ポテトを気軽に頼んだら、すごい量が。
1979年に村上春樹(1949-)が30歳のときに発表したデビュー作から。小説の終盤、帰省先の港のある街から東京へ夜行バスで戻る主人公「僕」に、バーのマスターのジェイが持たせるのがフライド・ポテト。ちなみに、以前の記事で取り上げた「コンビーフのサンドウィッチ」を作ったのもジェイです。いずれもビールのつまみに合うものです。
大繁盛しているとは言えなさそうなジェイのお店ですが、仕込みのために毎日バケツ一杯の芋を剥いているのでフライド・ポテトのオーダーが多いのかもしれません。彼の作るフライド・ポテトはきっとおいしいのだろうなと想像させます。ビニール袋で持たせるところに妙な現実味があって、思わず生唾をゴクリと飲み込んでしまいます。